投資信託の基準価格ってどういう意味なんですか?
株で言う株価みたいな意味で理解されている事が多いけど、実際はもう少し複雑なんだよ!
投資信託における基準価格は、株価と同様にそのファンドの価値を示しています。
ですが、株のように希望の価格で売買することはできません。
投資信託を始めたばかりの方はこの点に混乱されるかもしれません。
今回の授業は投資信託の基準価格について株価との違いを踏まえて紹介するよ!
- 基準価格の決め方と決まるタイミング
- 基準価格の変動要因
- 各ファンドの基準価格確認方法
それでは授業を始めます!
基準価格の決め方と決まるタイミング
株の場合は主に企業の業績や将来性で株価が変動します。
有望な企業ほど多くの投資家が株を欲しがるので、その需給によって株価が上下します。
ですが、投資信託における基準価格は需給関係だけでは決まりません。
じゃあ、どうやって基準価格って決まるの?
基準価格の決め方
投資信託の基準価格は3つの要素から計算されます。
- 資金元本:投資家から集めた資金(株式等で運用)
- インカムゲイン:株式等の配当金等で得られた利益
- キャピタルゲイン:株式等の売却によって得られた利益
資金元本はそのファンドの需要(人気)によって投資家からお金が集まるので株価に似ています。
たくさん資金が集まれば基準価格は上がりますし、売られれば下がります。
残りのインカムゲイン、キャピタルゲインに関しては株価にはないものです。
ファンドが株式に投資しているなら、各株から得られた配当金(インカムゲイン)で基準価格が上がります。
また、株式の売却によっても、利益がでれば基準価格は上がり、損失がでれば下がります。
このように、3つの要因で基準価格は決まっています。
株価の場合は1日の間でリアルタイムに変動しますが、基準価格が決まるタイミングは1回だけです。
基準価格はいつ決まる?
株の場合は株式市場が開いている時間帯で株価が秒単位で変動しますが、基準価格は1日1回しか変動しません。
その基準価格が反映されるタイミングは、楽天証券であれば当日21:30頃~翌朝6:00までに決まります。
ってことは、翌日の6:00以降には基準価格が分かるってことだね!
基準価格が1日1回しか変わらないなら、どのタイミングで売買が成立するんですか?
◆国内に投資するファンド
◆海外に投資するファンド
上図のように注文をする時間や投資対象が国内と海外では約定するタイミングが異なります。
このため、注文した時の基準価格では売買が成立しないことが株との大きな違いです!
だから、投資信託には株のように基準価格を指定した売買する指値注文はないんです。
株の感覚で言えば、投資信託の取引は全て成行注文(価格問わずいくらでも買います・売ります)に近いね!
下記の記事にて、ファンドが売買されるタイミングを紹介しています。そのタイミングからNISAを使い切るにはいつまでに注文すべきか?分配金をもらうためにはいつまでに注文すべきか?と言った内容も紹介していますので興味のある方は参照ください。
⇒投資信託の受渡日と約定日|売買価格はこのタイミングで決まる!
基準価格の変動要因
基準価格は『資金元本』、『インカムゲイン』、『キャピタルゲイン』の3つで構成されるため、それらの変動の影響を受けます。
ただし、基準価格が変動するタイミングが、実はもう1つあります。
それは、分配金を出したときです。
ファンドによって毎月出たり、年に1回だったりと様々ですが、上図のように基準価格の一部を切り崩して分配金が出ます。
そのため、分配金が出ることによって基本的には基準価格が下がります。
詳しくは『投資信託の分配金の仕組みを知ろう!どこからお金が出ているの?』の記事を参照ください。
ファンドの基準価格の確認方法
各ファンドの基準価格を知るのは、証券会社のホームページなどにあるファンドデータから知ることができます。
証券会社の場合、基本的には取扱があるファンドの基準価格しか分かりませんが、モーニングスターでは国内の幅広いファンドの基準価格を一覧で知ることができます。
モーニングスター
https://www.morningstar.co.jp/
他にも各証券会社が提供しているスマホのアプリなどでもチェックすることが可能ですよ!
今日の授業を動画で復習
まとめ
- 基準価格は株価のような買値・売値を表しているだけではない
- 基準価格を決める3要素がある
- 分配金が出ると基準価格は基本的に下がる
- 基準価格はモーニングスターや各証券会社のホームページでチェックできる
株の価値を表すのが株価、投資信託の価値を表すのが基準価格です。
どちらも似たようなものではありますが、基準価格の更新タイミングは1日1回なので株のように希望の価格(指値)で売買することはできません。
例えばバブル崩壊やリーマンショックのような事が起これば株価は直後に急落しますが、基準価格はその日の夜以降にならないと見た目上は変動しません。
ですが、約定するタイミングは翌日以降になるので結局は下がった価格で売買が成立することになります。
投資信託は株と違って表示されている基準価格では売買できない点にご注意ください!