そろそろNISAの非課税期間が終了しそうなんですけど、どうしたらいいですか?
売却・ロールオーバー・課税口座へ移管の3択でどれかを選ぶことになりますよ!
※記事の内容は投資信託での取引を例に書いていますが、株でも大きな違いはありません。
2018年末に2014年に積み立てたNISAの非課税期間が終了します。
終了前までに売却・ロールオーバー・課税口座へ移管のどれを選ぶかを決断しないといけません。
これらを選択するとどうなるか?それぞれの注意点を紹介していきます。
今日の授業はNISA口座の5年後(非課税期間終了前)について紹介します。
●NISAで積立た投資信託を5年後どうするか?
-どのような選択肢があるか?
-売却:年度を指定して売却するには?
-ロールオーバー:ロールオーバーができないケース
-課税口座へ移管:含み損は要注意
非課税期間が終了するまでにしっかりと勉強しておきましょう!
NISAで積立てた投資信託を5年後どうするか?
非課税期間を迎えるNISA口座は上図のフローチャートに沿った選択をするのがおすすめです。
なぜこのようなフローチャートになったのかは、これから紹介しますが、その前に5年後の非課税期間終了までに私達投資家が取れる3つの選択肢を紹介します。
売却・・・非課税期間終了前までに売却
ロールオーバー・・・NISAで継続投資
課税口座へ移管・・・売却・ロールオーバーしなければ課税口座(一般口座・特定口座)に自動的に移管されます。
これらの選択はフローチャートにもあるように、現時点での含み益の有無や、投資したファンドが今後伸びそうかどうかによって決まってきます。
また、これらの手続きは具体的にどうやってやるのか?といったことも含めて紹介していきます。
売却
含み益あり・・・売却によって得た利益分が非課税となりオトク
含み損の場合・・・NISAの最大メリットである非課税の恩恵を受けられない。しかも、損失分は他の課税口座でプラスになった利益と損益通算できない。
注意点
5年後の非課税期間が終了する前までに売却しないと課税口座へ自動的に移管されるので、売りたい方は早めの対応を!
売却時に利益が出ている場合は、その分が非課税となりNISA制度の恩恵にあずかる事ができます。
一方で、含み損(損失)が出ている場合は、NISAで積立ててきた意味が全くありません。利益が出てないので、非課税の恩恵は受けられないのは当然として、他の課税口座(一般口座や特定口座)で出た利益分と相殺(損益通算)ができません。
ですので、含み損がある場合は泣き寝入りして売却する方が懸命ですが、今後は元本以上に伸びそうであればロールオーバーを選択する価値があります。
ロールオーバーを選択するとどうなるかは、後ほど紹介します。
ところで、同じファンドを積立てしてた場合、非課税期間が終了する年度の分だけ売却ってどうやるの?
良い質問だね!先生も気になって証券会社に問い合わせてみたんだ!
年度を指定して売却する方法
年をまたいで同じファンドに積立てし続けると、売却する際にいつに購入した分が売られるのかが分からないですよね。
楽天証券にその件を問い合わせた所、『先入先出法により、先に取得したものから順次解約したものとして計算します。』という回答がありました。
つまり、2018年末までに2014年に購入したファンドを売るのであれば、その年に購入した口数を調べて、売却時にその分を指定して解約すればOKです。
年度別の購入口数は楽天証券であれば、ログイン後に『NISA』→『使用状況』から各年にどのファンドを何口購入したか調べることができます。
楽天証券以外でも同様の扱いになっているかは分かりませんのでご注意ください。
ロールオーバー
含み益あり・・・今後も更に利益拡大すれば、非課税の恩恵が更に大きくなる。
含み損の場合・・・今後は元本以上に回復しそうであれば、非課税の恩恵を受けられる可能性がある。そうでなければ選択する意味はない。
注意点
ロールオーバーの手続きをしないと自動的に課税口座へ移管されるので、年末までに対応しておくこと!また、NISA口座の金融機関を変更したり、2018年以降につみたてNISAを選択した場合はロールオーバーできないのでご注意を!
ロールオーバーとは5年間の非課税期間を終えても、6年目からも継続してNISAで保有し続けることです。
ロールオーバーの選択方法は、非課税期間終了前までに各証券会社から手続きの案内が来るようになっています。
含み益が出ている方は更に利益拡大すれば非課税の恩恵をもっと受けられますし、含み損であっても今後に元本以上になればNISAで投資をしてきた価値が出てきます。
従来は含み益がでても、投資可能限度額の100万円分(2016年以降は120万円分)までしかロールオーバーできないとされていましたが、2018年6月1日時点では利益も含めてできるようになっています。
つまり、投資信託の評価額が100万円(2016年以降は120万円)を超えて150万円とか200万円になっていても、全額を継続して保有できるようになりました。
また、一方で含み損が出た状態でロールオーバーをした場合、既存の評価額に加えて投資限度額である120万円まで追加投資可能です。
例えば100万円投資したファンドが90万円になり非課税期間が終了した場合、ロールオーバーをすれば追加で30万円まで投資が可能になります。
投資限度額が100万円だった2014年、2015年のNISA分であっても、2019年以降のロールオーバーは120万円までの追加投資が可能です。
ロールオーバーは便利な制度だけど、人によってはできないケースがあるから注意してね!
えっ!そうなの?!どういう場合だとロールオーバーできないの?
ロールオーバーができないケース
ロールオーバーができないケースは2通りあります。
- NISA口座の金融機関を変更した
- 2018年以降につみたてNISAを始めた
ロールオーバーは同一金融機関でないとできないです。
仮に2014年に楽天証券で積立ていて、2015年以降にSBI証券にNISA口座を移管した場合、2014年分のファンドをロールオーバーすることはできません。
また、2018年から始まったつみたてNISAに口座変更をしていた場合もロールオーバーできません。
ただし、ロールオーバーする年の口座をつみたてNISAから従来のNISAに戻していれば可能です。
NISA口座の種類変更は年に1回可能で、その年にNISAまたはつみたてNISAで一度も取引がなければ変更可能です。
課税口座へ移管
含み益あり・・・特にメリットもデメリットもない。
含み損の場合・・・特にメリットもデメリットもない。
注意点
ロールオーバーの手続きや、売却をしないと自動的に課税口座(一般口座・特定口座)へ移管されます。
ロールオーバーや売却をしなければ、課税口座(一般口座・特定口座)に自動的に移管されます。
その際には、非課税期間終了時の基準価額で購入されたものとして移管されます。
例えば、100万円で買ったファンドが150万円になっていたら、課税口座へ移管された時点で150万円で買ったことになります。
つまり、この状態で課税口座へ移管してもすぐに売却すれば利益0円となり課税はされません。(150万円で買ったファンドを同値で売ったことになる。)
逆に値下がって、80万円になっていた場合も、課税口座へ移管された時点で80万円で購入したことになります。
この場合は少し注意が必要です。
含み損が出たまま課税口座へ移管されると、上記の場合だと80万円で再購入したことになります。
ですので、このファンドが100万円の当初の元本まで値上がったら20万円の利益が出たことになり、課税対象となります。
NISAで投資した元本分まで含み損が回復しても課税対象になっちゃうんだね!
そうなの!元本分を取り返しただけなのにね。だから含み損のまま課税口座へ移管した場合は注意してね!
まとめ
- 非課税期間終了までに売却・ロールオーバー・課税口座へ移管の3択から決める
- 売却は含み益がある場合がおすすめ
- ロールオーバーは保有中のファンドが今後値上がりする場合におすすめ
- 課税口座への移管は特にメリットもデメリットもない
NISAの非課税期間終了後は含み益の有無や、今後に値上がる可能性があるかどうかで売却やロールオーバーを選択すると良いです。
2014年にNISAで積立た投資信託(株も含む)は5年後の2018年末に非課税期間が終了しますし、2019年以降も2015年以降に積立た投資信託などが順次、終わっていきます。
含み益の有無や投資したファンドの将来性を考えて売却やロールオーバーを選択しましょう!