平均貯蓄額って雑誌とかで紹介されているのを見かけますけど、うちの親とかそんなにもってないと思うんです。
世間の平均貯蓄額と一般家庭のリアルな平均貯蓄額って乖離があるって言うよね!
うんうん。たしかに気になりますよね。実際のところってどうなんでしょうね。
私も気になるから、全力で調べてみるね!
世間一般の平均貯蓄額は何千万円もあるって話がある一方、我が家では数百万円が限度。
友達とかに、それとなく聞いても何千万も貯金している人なんて聞いたことがない。(もしかしたら本当の金額を言ってないだけかも・・・。)
我が家って貧しくもないけど豊かでもない、平均的な家庭と思っているけど、我が家の貯蓄状況ってどうなんだろ?
そんな一般家庭のリアルな平均貯蓄額について調査していきます。
今日の授業は一般家庭の平均貯蓄額について紹介します。
- 一般家庭の平均貯蓄額はいくら?
- 一般家庭の銀行預金額はいくら?
- 年齢や職業別の平均貯蓄額
- 負債を加味した年齢別の平均貯蓄額
一般家庭のリアルな平均貯蓄額に一緒に迫っていきましょう!
一般家庭の平均貯蓄額はいくら?
早速、一般家庭の平均貯蓄額はいくらなのかを調べていきたい所ですが、一言で一般家庭と言っても、何をもって一般家庭とするのかが難しい所です。
一般家庭の定義は家族構成、年齢、職業等々で条件は様々と思います。
ここでは、二人以上の勤労者世帯の平均年収を一般家庭と定義してその貯蓄額を調べていきます。
あとで、年齢や職業別の貯蓄額や住宅ローン等の負債がある家庭での平均貯蓄額も紹介します。
どうやって平均貯蓄額を調べるの?
こういうのは、総務省統計局、厚生労働省、金融広報中央委員会のデータを参考にすると良いと思いますよ!
参考にするデータ
参考に用いるデータが1つだったり、集計したデータのサンプル数が少ないと結果に偏りが出てしまいます。
今回、参考にするデータは同年度のサンプル数が多い下記を用います。
厚生労働省:平成28年 国民生活基礎調査
3年毎に国民生活基礎調査の大規模調査があり、直近では平成28年に実施。全国の289,470世帯が対象(内、集計対象は224,208世帯)と膨大なサンプル数。貯蓄に関しては、その内の34,286世帯が対象(内、集計対象は24,604世帯)
総務省統計局:家計調査年報(貯蓄・負債編)平成28年(2016年)
全国の世帯が調査対象で、二人以上の8,076世帯、単身の745世帯が対象。
金融広報中央委員会:家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査] 平成28年調査結果
全国の二人以上の7,808世帯の内、集計対象は3,497世帯が対象。
参考にしたデータは平成28年と若干古くはあるのですが、その年に国民生活基礎調査の大規模調査があり、まとまったデータが存在します。
その年に合わせて、総務省統計局や金融広報中央委員会のデータも平成28年のデータを参考にします。
一般家庭の平均貯蓄額&年収
では、早速ここまでのデータを参考に、一般家庭を平均年収の世帯と仮定して、その平均貯蓄額を調べてみます。
平均年収も平均貯蓄額と同じくらい、ややこしくて雑誌やネットの記事などによって大きくバラツキがあるように感じます。
平均年収はサンプル数が多い厚生労働省の国民生活基礎調査を基準にします。
◆平均年収はいくら?
ふむふむ。平均年収は545万円ってことだね!
そうだけど、こういうデータを見るときは平均値でなく中央値の427万円を参考にした方が良いですよ!
平均値と中央値の違い
日本は格差社会と言われているように、お金をたくさん持っている方とそうでない方の差が激しいと言われています。
上図のように平均値で見ると、年収がずば抜けて高い方がいると平均年収はグンッと引き上がってしまいます。
一方で、年収がずば抜けて高い方や、ずば抜けて低い方がいても、中央値は年収を低い順番に並べた時の真ん中の方が対象となるので影響を受けません。
なるほど!だから高収入の人がいても中央値だったら平均値じゃないから世間一般の実態を反映しやすいってことだね!
そうなんだ!だからこそ、データを見るときは中央値が紹介されていれば平均値を見るよりも良いと思いますよ!
ちょっと話がそれてしまいましたが、ここからは一般家庭の年収が427万円と仮定して話を進めていきます。
ここから、総務省統計局の家計調査、厚生労働省の国民生活基礎調査、金融広報中央委員会の家計の金融行動に関する世論調査の3つのデータの平均貯蓄額をまとめて紹介します。
◆平成28年国民生活基礎調査(厚生労働省)
◆家計調査年報(貯蓄・負債編)平成28年(2016年)貯蓄・負債の概要(総務省統計局)
◆平成28年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]
上記の貯蓄額や金融資産保有額は銀行預金だけでなく、株や投資信託などの有価証券、生命保険も加味した金額になっています。
ここからは紹介したデータの平均貯蓄額および中央値をまとめてみます。
【厚生労働省】
全世帯:平均貯蓄額=1031.5万円、中央値(記載なし)
高齢者世帯:平均貯蓄額=1221.6万円、中央値(記載なし)
児童世帯:平均貯蓄額=679.9万円、中央値(記載なし)
母子世帯:平均貯蓄額=327.3万円、中央値(記載なし)
※児童世帯:18歳未満の未婚者がいる世帯≒勤労者世帯
【総務省統計局】
二人以上の世帯:平均貯蓄額=1820万円、中央値1064万円(貯蓄0円の世帯を含めると996万円)
二人以上の世帯のうち勤労者世帯:平均貯蓄額=1299万円、中央値734万円(貯蓄0円の世帯を含めると690万円)
【金融広報中央委員会】
全体:平均貯蓄額=1078万円、中央値400万円(貯蓄0円世帯含む)
収入なし:平均貯蓄額=689万円、中央値0万円(貯蓄0円世帯含む)
年収300万未満:平均貯蓄額=746万円、中央値100万円(貯蓄0円世帯含む)
300万~500万:平均貯蓄額=982万円、中央値350万円(貯蓄0円世帯含む)
500万~750万:平均貯蓄額=1171万円、中央値550万円(貯蓄0円世帯含む)
750万~1000万:平均貯蓄額=1665万円、中央値1035万円(貯蓄0円世帯含む)
1000万~1200万:平均貯蓄額=2556万円、中央値1120万円(貯蓄0円世帯含む)
1200万以上:平均貯蓄額=2826万円、中央値1900万円(貯蓄0円世帯含む)
今回の一般家庭の定義は『二人以上の勤労者世帯で年収が427万円』としていますので、無職の世帯が多いであろう高齢者世帯は除きたい所です。
というのも日本は高齢化社会を迎えており、高齢者世帯が増えていて、厚労省や金融広報中央委員会の年齢別のデータを見ていただくと、高齢者世帯の貯蓄額が突出して高い事をが見て取れます。
こうした事から、総務省統計局の勤労者世帯でない二人以上の世帯や、金融広報中央委員会の全体の数値を参考にしませんでした。
その上で、一般家庭の定義として二人以上の勤労者世帯で年収が427万円とすると、上記にまとめ内だと赤字の部分が一般家庭の平均貯蓄額と見て差し支えないと思います。
中央値が紹介されている総務省統計局と金融広報中央委員会のデータを見る限り、350万円~690万円が一般家庭の平均貯蓄額と見てとれます。
350万~690万って幅が広いですけど、間を取って500万円前後と見ても良さそうですね!
そうですね。正確な所はわかりませんが、一般家庭の平均貯蓄額は500万円前後と言えそうですね。
貯蓄額って銀行預金だけじゃなくて株とか投資信託、保険まで含めたものだよね?銀行預金だけだといくらになるのかな?
一般家庭の銀行預金額はいくら?
◆貯蓄の内訳
上記は貯蓄の内訳を示したものです。
通貨性預貯金はいわゆる銀行の普通預金、定期性預貯金はいわゆる銀行の定期預金として捉えてください。
銀行預金と定期預金の割合を見ると、二人以上の世帯では62.5%、二人以上の勤労者世帯では59.9%になります。
一般家庭の定義を『二人以上の勤労者世帯で年収が427万円』とすると、平均貯蓄額は350万円~690万円と考えられました。
二人以上の勤労者世帯の銀行預金と定期預金の内訳が59.9%、平均貯蓄額が350万円~690万円とすると、貯金額は209.7万円~410.6万円となります。
ってことは、一般家庭の貯金額は300万円前後って言えそうだね!
ここまでで一般家庭の平均貯蓄額を紹介しましたが、ここからは今までのデータを活用して年齢や職業別の平均貯蓄額を見ていきます。
年齢・職業別の平均貯蓄額
年齢や職業別の平均貯蓄額を見る上で、前述した金融広報中央委員会のデータを参照します。
◆年齢別・職業別の平均貯蓄額
これまでにも紹介した通り、参照すべき値は平均値ではなく中央値の方が良いと思います。
ここからは、このデータから考えられることを年齢別・職業別に見ていきます。
年齢別の平均貯蓄額に対する考察
年齢別の平均貯蓄額を見て気づいた点・気になった点を挙げます。
- 60代まで平均値・中央値は右肩上がり
- 70歳以降は平均値と中央値が60代と比べて下がる
- 20代の中央値が0円
①について、60代までは平均貯蓄額も中央値も右肩上がりに増えていっていることから、仕事をリタイアするまで全体的に見て貯蓄ができていることが考えられます。
②について、リタイア世帯が多いであろう70歳以降になると平均貯蓄額も中央値も60代と比べて低下しているため、年金だけでは生活ができていない可能性が考えられます。
③について、20代の平均貯蓄額の中央値が0円でした。調査対象は世帯主が20歳以上かつ2名以上の世帯ですので、学生は除外されていると思われます。
そう考えると、20代の大半は貯蓄ができていないことも考えられます。
職業別の平均貯蓄額に対する考察
職業別の平均貯蓄額について気になった点がいくつかあります。
- 平均貯蓄額が同じくらいの業種でも中央値に差がある
- 業種別に見ると平均貯蓄額と中央値は比例しない
①について、農林漁鉱業(平均貯蓄額=945万円、中央値=130万円)と製造業(平均貯蓄額=966万円、中央値=495万円)の平均貯蓄額は同じくらいですが、中央値は300万円以上の開きがあります。これは、農林漁鉱業は製造業と比べて一部の方がたくさん貯蓄をしていて平均貯蓄額を引き上げている可能性があります。逆に見ると、製造業は農林漁鉱業ほど貯蓄格差はないと考えられます。
②について、運輸業・郵便業(平均貯蓄額=659万円、中央値=30万円)、宿泊業・飲食サービス業(平均貯蓄額=387万円、中央値=10万円)を見ると、他の業種と比べて平均貯蓄額に対して中央値は低くなっています。①と同様に一部の世帯がたくさん貯蓄をして、平均値を上げており、貯蓄格差が生じていると考えられます。
製造業は平均貯蓄額も中央値も高い事から、全体的に貯蓄格差が起きにくく、農林漁鉱業、運輸業・郵便業、宿泊業、飲食サービス業では平均貯蓄額に対して中央値が低いことから、貯蓄格差が起きやすい業種と考えられます。
つまり、製造業は全体的に他の業種と比べて貯蓄ができている世帯が多く、農林漁鉱業などは一部の方しか貯蓄ができていないと考えられます。
負債を加味した年齢別の平均貯蓄額
◆年齢別の平均貯蓄額と負債
いくら貯蓄があっても負債があってはお金を貯められているとは言いづらいですよね。
上記は年齢別の平均貯蓄額と負債(借入金額)を見たものです。
ここから、負債を加味した年齢別の平均貯蓄額を見る上で、両者を差し引いた金額を計算してみます。
【貯蓄額-借入金額】
全世帯:1031.5万-430.1万=601.4万
20代以下:154.8万-263.4万=-108.6万
30代:403.6万-865.7万=-462.1万
40代:652.0万-862.1万=-210.1万
50代:1049.6万-581.6万=468万
60代:1337.6万-251.9万=1085.7万
65歳以上:1283.6万-163.4万=1120.2万
70歳以上:1260.1万-134.2万=1125.9万
負債の種類に関して記載がないので、住宅ローン、自動車ローン、事業ローン等様々な要因が考えられます。
別の報告ですが、『総務省統計局-家計調査年報(貯蓄・負債編)平成28年(2016年)世帯属性別にみた貯蓄・負債の状況』では持ち家率に関して、二人以上の世帯では84.9%、二人以上の勤労者世帯では77.0%でした。
こうした事から、世間一般の持ち家率が非常に高い事を考えると、借入金の内訳は住宅ローンが大きなウェイトを占めていることが考えられます。
貯蓄には家や車などの資産価値のあるものは含まれていないので、20代~40代は貯蓄額よりも負債が勝っています。
また、前述した金融広報中央委員会の年齢別のデータと同様に60代までは貯蓄額が増加し、70歳以上は60代と比べて減少していることから、やはり年金だけでは生活できていない事が考えられます。
今日の授業を動画で復習
まとめ
- 一般家庭の平均貯蓄額は500万円前後
- 一般家庭の預貯金額は300万円前後
- 20代の大半は貯蓄ができていない
- 業種によっては一部の世帯が平均貯蓄額を大きく引き上げている(貯蓄格差)
- 年金だけでは生活できていない可能性が高い
色々な雑誌やインターネットのサイトで平均貯蓄額は◯◯万円!とありますが、一般家庭での平均貯蓄額を私なりに調べてみました。
平均貯蓄額よりも多い・少ないで一喜一憂するのではなく、自分のライフプラン(人生設計)に沿った貯蓄目標が重要だと思っています。
現在の貯蓄ペースでは貯蓄目標に達しないのであれば、『投資信託初心者の方必見!やり方を誰でも分かるように詳しく紹介!』で紹介したような投資信託での資産運用なども有効手段の1つと考えています。
データから私なりに色々と考察しましたが、これらのデータから読み取れる事はもっとあると思うので良ければ皆さんの見解もコメントでお知らせください!