投資信託の本を読んでたら純資産総額に必要な額は10億以上、30億以上、50億以上とかって書いてある事がバラバラなんですけど、一体いくらが正解なんですか?
こんにちは!お金の学校のキリコです。
投資信託の入門者向けの書籍にはファンド選びの基準の1つに純資産総額にも注目して、『◯◯億円以上を選びましょう!』と書いているものがあります。
でも、その額は10億だったり50億だったりとバラつきがあります。
投資しようとしているファンドが基準額の微妙ならラインだったら買って良いかどうか悩みますよね?
そこで今回はファンドに適切な純資産総額はいくらなのかを紐解いていきます。
結論としては、純資産総額はファンド毎に設定されている繰上償還という強制売却を防ぐためのものですので、その額を知れば必要な純資産総額が見えてきます!
You Tubeでも紹介していますので、通勤中や寝る前など聞き流したい方は動画をご視聴下さい。
なぜ純資産総額に注目する必要があるのか?
投資信託(特にインデックスファンド)を選ぶ際に重要なことは信託報酬料(維持手数料)であり、純資産総額はそこまで重要ではありません。
ただ、書籍等で純資産総額にも注目すべきとしている理由は繰上償還にあります。
繰上償還とは?
繰上償還はファンドの強制売却の事です。
純資産総額が一定のラインを下回ると繰上償還される可能性があり、その時点での基準価額で強制売却されます。
その時点での基準価額で売却されるので損することはないのですが、つみたてNISAや一般NISAで運用していた場合は40万円、120万円の非課税枠を使って投資したのに、その分が無駄になってしまいます。
売却した額で再投資しようとしても、下記の記事で紹介した通り非課税枠を超えての運用ができないので注意が必要です。
つみたてNISAで銘柄変更をしたいと思っている方に向けて変更方法や変更時の注意点などをまとめています。
繰上償還となる純資産総額はいくら?
上図はeMAXIS Slim全世界株式(オールカントリー)-交付目論見書(2019年8月9日)から引用したものです。
その中に繰上償還の条件が書いてあり、こちらのファンドだと受益権口数が10億口を下回った場合とあります。
受益権口数って何ですか?純資産総額と関係あるんですか?
受益権口数は、そのファンドが何口分運用されているかを示してるんだ!これから詳しく紹介するね!
受益権口数とは?
受益権口数はファンドの交付運用報告書に書いてありますが、『純資産総額÷基準価額☓10,000』で求める事ができます。
そのため、純資産総額と基準価額によって受益権口数が変動します。
投資信託の基準価額は基本的に1万円からスタートしますので、基準価額が1万円で純資産総額が10億円だと受益権口数は10億口になります。
多くのファンドは繰上償還の基準は受益権口数が10億口~30億口を下回った場合に可能性があるとされています。
だから純資産総額の目安が10億円~30億円って書いてある本が多いんですね!
まとめ
- 受益権口数が繰上償還の条件になっている
- 受益権口数は純資産総額に比例する
- ファンドの目論見書や運用報告書で受益権口数や繰上償還の条件をチェックできる
少しは純資産総額の目安についてクリアになったでしょうか。
純資産総額で気をつけたい点は、繰上償還の観点から純資産総額がいくらなのかは大切ですが、それよりも、増加傾向にあるかどうかの方が重要です。
受益権口数を下回っても必ずしも繰上償還されるわけではないですが、純資産総額が減少傾向で受益権口数が下回っているファンドは繰上償還の可能性が高くなるので要注意です。
どのファンドも月次レポートで最新の純資産総額がチェックできますし、交付目論見書の最後の方に繰上償還の条件が書いてあるので気になる方はチェックしてみてください。