悩

投資信託の信託報酬料が安くなってきてるけど、海外ETFの方がもっと安いよね?長期保有するならどっちが良いのかな?

ポイント

以前は海外ETFの方が良いと思ってたけど、実は投資信託の方がお得かもしれません!

維持手数料である信託報酬料を見ると、安くなってきてるとは言え、投資信託の方がまだまだ高いです。

でも、海外ETFを購入すると投資信託にはない為替手数料や配当金の現地課税などが発生します。

今回は海外ETFの代表格の『バンガード・トータル・ワールド・ストックETF』とほぼ同じ資産クラスに投資する投信の『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)』を比較していきます。

笑

今日の授業は海外ETFと投資信託どっちが良いか検証するよ!

  • VTとSlim全世界株の概要
  • 手数料・税金・ポイント制度でコスト比較

まずは、両者の概要からご紹介します。

VTとSlim全世界株の概要

海外ETFと投資信託どっちが良いか?VTとeMAXIS Slimで比較

長期保有する上で、手数料・税金・ポイント制度・期待リターンを加味してどっちがお得かを検証していきます。

その上で、まずは『バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(以降、VT)』と『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)(以降、Slim全世界株)』の特徴から紹介していきます。

◆VTとSlim全世界株のインデックス
【VT】
インデックス:FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス
小型株まで含めた時価総額の98%をカバー(約8,000銘柄)

【Slim全世界株】
インデックス:MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス
小型株を除く時価総額の85%をカバー(約3,000銘柄)


どちらのインデックスも、国内外の先進国・新興国の株に幅広く投資するものです。

分散投資の観点からカバーの広さはVTの方が圧倒的です。

では、このカバーの広さがリターンにどの程度影響があるのかを見ていきます。

過去のリターンとリスクを比較

1年 3年 5年 10年 15年 20年
FTSE(円) 4.3
21.4
14.1
14.7
8.3
16.0
12.1
17.6
7.7
19.0
5.0
18.4
MSCI(円) 4.5
21.5
14.2
14.8
8.3
16.0
12.1
17.6
7.6
18.9
4.8
18.4
(※上:リターン、下:リスク)
(参照:my INDEX)

上記は2019年6月末時点での過去のリターンとリスクを見たものです。

VT(FTSE)とSlim全世界株(MSCI)では対象銘柄数が大きく異なりましたが、リターンやリスクはほぼ同じと言えます。

続いて、両者の手数料面を比較していきます。

手数料を比較

購入手数料 売買手数料 信託報酬料 実質コスト 為替手数料
VT 0.486%
最大21.6㌦
最小0㌦
0.486%
最大21.6㌦
最小0㌦
0.09% 片道4銭/㌦
Slim全世界株 0.142% 0.24%

売買手数料はSlim全世界株は無料ですが、VTはそれなりに係ります。

ただし、維持手数料に当たる信託報酬料(経費率)はVTが0.09%に対して、Slim全世界株は0.24%とかなり割高です。

為替手数料に関してはSBI証券と住信SBIネット銀行を利用した事を想定しています。

★実質コストについて
投資信託の維持手数料には信託報酬料だけでなく、隠れコストと言われるものがいくつかありますので、実際は投資信託を保有していると信託報酬料以上の費用が係ります。詳しくは下記の記事を参照ください。
投資信託にかかる手数料の目安は?運用成績を少しでもあげるために

もっと詳細に比較したいので、ポイント還元制度や税制面でも比較していきます。

税制面とポイント還元制度を比較

売却課税 配当課税 ポイント還元
VT 20.315% 10%
(確定申告で一部還付)
なし
(SBI証券)
Slim全世界株 20.315%
(無分配のため)
保有額に応じて4ポイント/10万円/月
(楽天証券)

海外ETFの購入に最もコストがかかると思われる為替手数料が安く抑えられるSBI証券と住信SBIネット銀行の利用のため、ポイント制度もSBI証券を想定しています。

一方で、投資信託の方はポイント還元率やポイント有効期限が無期限ということもあり楽天証券を想定しています。

税制面やポイント還元制度に関しては投資信託の方が有利と言えます。

笑

ここまでの条件を踏まえて両者を長期保有した場合のコストを比較していきます!

手数料・税金・ポイント制度でコスト比較

運用リターンはVTもSlim全世界株も同じと仮定すると、コストが安いほど利益が大きくなると言えます。

そこで、下記のシミュレーション条件でどのくらいコストが係るのかを比較していきます。

◆シミュレーション条件
保有期間:20年間
為替レート:1㌦=100円(固定)
購入金額:100万円(1万ドル)
積立:なし(1回きりの購入)
口座:課税口座(NISAは使用しない)
リターン:どちらも同じ
VTの配当金:年1回再投資
VTの配当利回り:2%(固定)

これらの条件で、ポイント還元を加味した上での手数料を比較してみます。

シミュレーション結果

VTとSlim全世界株の比較

このように、今回の条件ではSlim全世界株の方がトータルのコストは安いと言うことが分かりました。

信託報酬料に関しては投信の方が高かったのですが、とりわけ配当課税が海外ETFでは高いことが良くわかります。

確定申告にて外国税額控除を利用すれば、戻ってくるのですが、それは全額戻ってくるわけではなく、多くても50%程度と思われます。

シミュレーション結果の外国税額控除の最大値は50%還元で計算しています。

悩

ところで、外国税額控除ってどうやって計算するの?

外国税額控除の計算について

所得税の控除限度額及び復興特別所得税の控除限度額は次の算式により計算します。

①所得税の控除限度額=その年分の所得税の額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)
②復興特別所得税の控除限度額=その年分の復興特別所得税額×(その年分の調整国外所得金額/その年分の所得総額)

このような計算式になります。

早い話、所得税を沢山払っている方は外国税額控除の額が大きくなり、還付額が多くなります。

一方で、住宅ローン減税などの適応を受けている場合、所得税の支払いが少ないので、還付はあまり期待できません。

私の場合は住宅ローン減税ありだと外国税額控除はほぼ0円に近い額でした。

仮に住宅ローン減税がなくても、課税額の50%程度が還付される計算でした。

今日の授業を動画で復習

まとめ

★ココがポイント★

  • 海外ETFと投信ではポイント還元まで加味するとリターンが同じなら投信の方がお得な可能性が高い
  • 外国税額控除で50%以上の還付が期待できる方は海外ETFの方がお得になる可能性がある。
  • 外国税額控除は納めている所得税が高くないと還付額が少なくなる。

今回のシミュレーションではリターンは同じとしましたが、海外ETFの場合は配当金を全額きっちり運用に回すことは難しいので、運用効率は投信の方が良くなります。

それを考えると、更に投資信託の方が良いかもしれません。

それに、確定申告の手間も省けます。

ポイント

もしVTが無配当だったら、投資信託よりも断然良かったと考えられます!